はじめに
前回の記事で、SEORium AI のベータ版リリースと合わせて、2つの公開実験を始めることをお伝えしました。今回はそのうちの一つ、「5年間更新が止まっていたメディアサイトを、SEORium AI の運用で復活させられるか」という検証の第0回です。
施策を始める前に、まずは現状を正直に、包み隠さず公開します。良いデータも、都合の悪いデータも、そのまま出します。
対象サイトについて
前回お伝えした通り、サイトの特定を避けるため、URLとジャンルの詳細は伏せます。分かっている範囲だけ共有すると:
- 情報メディアサイト(いわゆるオウンドメディア型)
- 最終更新:約5年前
- 直近12ヶ月の月間アクティブユーザー:平均1,000〜1,500人前後(後述するスパイクを除く)
- この12ヶ月間、記事の追加もリライトも一切行っていない完全放置状態
「昔がんばって作ったけれど、力尽きて放置している」——おそらく多くの方に心当たりのある状態だと思います。
ベースラインデータ、全公開
ここから、施策開始前の状態を4つの角度から公開します。今後、この数字を起点に変化を追っていきます。
① GA4 集客サマリー(直近12ヶ月:2025/7/9〜2026/7/8)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| アクティブユーザー | 約15,000人 |
| 新規ユーザー数 | 約15,000人 |
新規ユーザーの流入チャネル別内訳
| チャネル | 新規ユーザー数 |
|---|---|
| Organic Search | 約11,000 |
| Direct | 3,164 |
| Referral | 194 |
| Unassigned | 24 |
| Organic Social | 4 |
| AI Assistant | 3 |
自然検索(Organic Search)が全体の約7割を占めており、想定通り検索流入への依存度が高いサイトです。一方で、AI Assistant(ChatGPTなどのAI経由)からの流入がすでに3件発生している点は、時代の変化として興味深いところです。
② GSC 検索パフォーマンス(直近28日間)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 合計クリック数 | 823 |
| 合計表示回数 | 42,200 |
| 平均CTR | 1.9% |
| 平均掲載順位 | 16.7位 |
③ GSC 検索パフォーマンス(直近16ヶ月間)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 合計クリック数 | 14,100 |
| 合計表示回数 | 670,000 |
| 平均CTR | 2.1% |
| 平均掲載順位 | 29.7位 |
④ インデックス登録状況(2026/6/30時点)
| 状態 | ページ数 |
|---|---|
| 登録済み | 135ページ |
| 未登録 | 144ページ(理由6種) |
| 既知ページ合計 | 約279ページ |
この診断で見えてきた、4つの発見
数字を並べただけでは意味がありません。ここからが本題です。ベースラインを眺めていて、見過ごせない点が4つありました。いずれも「なぜそうなっているか」はまだ完全には特定できていませんが、憶測で結論を出さず、事実だけをここに記録しておきます。
発見1:2025年9月頃を境に、検索パフォーマンスが明確に落ち込んでいる
16ヶ月間のグラフを見ると、2025年3月〜9月にかけては表示回数・クリック数ともに高い水準で推移していたのに対し、2025年9月〜10月頃を境に明確に落ち込み、以降は低い水準のまま横ばいが続いています。
これは「5年間何もしていないから緩やかに落ちた」という単純な話ではなく、特定の時期に、何かが起きた可能性を示しています。考えられる要因は複数あります。
- Googleのコアアップデートの影響
- サイト側で気づいていない技術的な問題(サーバー移行、noindexの誤設定など)
- 競合サイトの台頭による相対的な順位低下
現時点では特定できていません。次回までに、この時期のGSCの詳細データ(該当期間のクエリ・ページ別の変動)を調査します。
発見2:既知ページの約52%(144/279ページ)がインデックス未登録
これが今回の診断で最も重要な発見だと考えています。Googleに存在を認識されているページのうち、半分以上が検索結果に一切表示されない状態にあるということです。
未登録の「理由」はGSC上で6つに分類されていますが、その内訳(重複コンテンツ、クロール済みだが未登録、noindexタグなど)はまだ精査できていません。ここは次回、理由別の内訳を公開します。放置サイトの復活を目指すなら、新規記事を書く前に、まずこの144ページの棚卸し(なぜ登録されないのか、リライトすべきか削除すべきか)が最初の一手になりそうです。
発見3:2025年12月頃と2026年6月末〜7月頃に、原因不明のアクセススパイクが繰り返し発生している
GA4の12ヶ月グラフには、平常時(1日40〜80人前後)から一時的に200人超まで跳ね上がるスパイクが、少なくとも2回確認できます。5年間更新していないサイトで、これほど明確な山が繰り返し出るのは通常考えにくく、原因調査が必要です。
発見4:直近28日間のDirect(直接流入)が、年間の傾向と比べて不自然に多い
年間を通じたDirect経由の新規ユーザーは3,164人(全体の約21%)ですが、直近28日間だけを見るとDirectが550人超と、単純計算(年間の1/13\=約7.7%)を大きく上回る比率で発生していました。
考えられる可能性はいくつかあります。
- 参照元情報が失われる形での外部からのアクセス(SNSアプリ内ブラウザなど)
- 計測タグやボットトラフィックの影響
- 発見3のスパイクと同一の現象
いずれも断定はできません。現時点では「調査中」として記録に留め、憶測で原因を決めつけないようにします。
ベースラインのまとめと、今後のKPI(仮)
以上を踏まえ、この検証の目標値を仮置きします(調査の進行により、次回改めて確定します)。
- 表示回数(GSC・28日間):42,200 → 3ヶ月後に60,000以上
- クリック数(GSC・28日間):823 → 3ヶ月後に1,300以上
- 平均掲載順位:16.7位 → 3ヶ月後に12位以内
- インデックス未登録ページ:144ページ → 3ヶ月後に半減
介入内容は、前回宣言したルール通り、週次でログを残し、月次で詳細レポートを公開します。
次回予告
次回は、今回「調査中」とした4つの発見のうち、特にインパクトの大きい\*\*「インデックス未登録144ページの理由別内訳」と「2025年9月の落ち込みの原因」\*\*を掘り下げます。そのうえで、実際の改善施策(リライト・棚卸し)を開始します。
派手な成果はまだ何もありません。ですが、これが本当のスタートラインです。ここから何が変わるのか、変わらないのか、正直に記録していきます。
